Behaviour and socialization of the dog. 
​-犬の行動と社会性-
犬の行動
 群れで生きる捕食動物である犬は獲物を見れば追います。そして餌場である縄張りを作り、守ります。縄張りは個体にも必ずあり、自分の縄張りに信頼のできない相手が近づけば警戒します。信頼のできる相手との調和が信頼関係となって、群れの一員となります。群れは行動を共にして助け合うことで繁栄します。この群れの行動の基本的スタイルはオオカミの行動と、ほぼ完全に一致するものです。この犬の行動には”本能による行動”と”学習による行動”があります。犬が沢山の事を覚える事ができるのは皆さんご存知だと思います。
 これは動物行動学において行動随伴性と呼ばれる能力の賜物です。簡単に説明すると、『こうなった』(結果)が自分にとって”良かった”か”悪かった”かで関連付けされて記憶されます。この”良かった”か”悪かった”がそれぞれ強烈な印象を残していると、同じシチュエーションに出くわした時の行動には前回の行動が大きく影響します。
 
 ・”良かった”となった行動には次回は穏やかに安心して過ごせます。
 ・”悪かった(または嫌だった)”となった行動には回避、逃走、威嚇、攻撃と発展した行動になり犬にとってストレスが高まります。
 
 この事から”良かった”の経験を沢山させることで、物事に馴れて余裕ができます。自分からその”良かった”行動を望むようにもなります。この行動随伴性を上手く活用することで”犬のしつけ”はスムーズに進める事ができます。
 
 また、2013年時点ではミトコンドリアDNAゲノム解析により、犬の先祖はオオカミである事が判明しています。この事は我々に多くの事を語っています。しかし、DNAが一致したオオカミは少なくとも数万年前のオオカミです。当然、今のオオカミとは本能も行動を違っていると考えられます。現存するオオカミは犬と分岐してからの数万年で当然進化していても不自然ではありません。
 この事は混同してはならず、慎重に捉える必要があると思います。
 
犬の社会性
 犬は群れで生きると先述しました。我々人間も同じく集団で組織される共同体で暮らす動物です。人間の群れは家族であり、会社であり、国家でもあります。この人間の群れも健全性を維持するためには規律がないと混乱を産みます。混乱状態にあれば、共同体としての機能は果たせなくなります。したがって犬の群れにも規律が必要となります。
 我々ヒトは子供の頃から親に沢山の事を教えられ、社会という共同体に入る準備をします。もし完全に社会性の欠如したヒトがいたならば、人との関わり方も知らず、言語も使えないために社会に馴染めません。
 犬は生後8週齢までに親や兄弟から最低限の社会で使うテクニックを学びます。そうする事で他の犬との関わり方や、危険な行動を取らないように馴致されていきます。
 犬もヒトも同じ社会性動物なのです。これ故に犬とヒトはよく似た部分が多いのです。8週齢から先も様々な社会化教育が行われますが、ここから先は人間が教える事も可能です。人との暮らしに馴れてもらうために8週齢から12週齢くらいのうちに飼うのが馴致が早いと言われています。したがって生後8週齢よりも前に親元から引き離すことは、その犬の社会性の欠如を意味します。故に成長と共に襲う、噛む、吠える、破壊する、自虐する、などの問題行動に発展する可能性が非常に高くなります。社会性が充分に備わっていないと他の犬やヒトに会うのにも恐怖を感じたり、不安になったりと情緒不安定になり易く、それは犬にとってもストレスとなります。
 
8週齢よりも前に売られている犬を飼うのはとても危険な行為です。
もし、困った事があれば行動カウンセラーや、ドッグトレーナーなどの専門家に相談しましょう。
 
 ここでは犬の行動の仕組みを少しだけ紹介しました。犬は物事をどのように覚えていくのか、皆と上手くコミュニケーションするための社会性について学ぶ事は、犬の幸せを考えるにあたって重要な事です。
 
 犬の幸せを願うのが飼主の愛ではないでしょうか。

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